1月30日<1月30日付プレス・リリース

ハワイ付近の低気圧の影響で、昨日一日、船団の周辺には西南西あるいは南西の風が吹いていました。船団はこれらの風に向かって航走を続けました。というのも、船団の位置は低気圧から遠く離れているので、ハワイ諸島に吹いているほどの強い風では無いのです。風速は船団の周辺でも一時20から25ノット(およそ10メートルから13メートル)に達しましたが、今日、伴走船のカマ・ヘレから入った報告によれば、現在は南西の風、10ノットから15ノット(およそ5メートルから8メートル)であるとのことです。風は船団が目指す方角から吹いているので、彼らはタッキング[訳注1]を続けているそうです。

カマ・ヘレの船長のマイク・テイラーの報告によれば、うねりの来る方向は北西から北に変化しているようです。高さも一時は20フィート(およそ7メートル)ほどありましたが、今朝は8から10フィート(およそ2.8メートルから3.5メートル)程度に収まっているとのことです。今日の彼の報告は以下のようなものでした。

「昨夜の帆走はごく平凡な、しかし安全という意味では順調なものだった。2艘のカヌーはこれまでの夜より若干距離を取って航行していた。北からの大きいうねりのせいで、航行灯(夜間、周囲から視認しやすいように点される灯火)と海面の距離が非常に狭くなっており、とても見づらかった。ショーティー(バートルマン、マイスの船長)が檣灯(しょうとう)[訳注2]を点けてくれたので、その後は問題無く航行出来た。2艘の航海カヌーの船長は、相互協力しながらの航行という点でも最高の仕事をしている。」

ちなみに、ホクレアの船長を務めているのはブルース・ブランケンフェルドです。

2艘の航海カヌーと伴走船のクルーの状態は良好です。今朝11時43分の時点での船位は北緯17度8分、西経163度12分。ハワイ島のマヌカ地区から見て西南西、440海里(815?)の地点です。

訳注1:風上に向かってジグザグに帆走すること。古代ポリネシアの航海カヌーがこうした性能を持っていたことを実証したのもホクレアの功績。
訳注2:マストの先端に設置された灯火。

1月30日<最新の船位情報をお知らせ致します

ホクレア:1月30日午前11時43分、北緯17.13083度、西経163.20361度
マイス:1月30日午前4時39分、北緯17.50462度、西経163.33194度
ホクレア:1月29日午後11時44分、北緯17.76000度、西経163.43268度
マイス:1月29日午後4時39分、北緯18.04611度、西経163.39389度
ホクレア:1月29日午前11時43分、北緯17.91823度、西経163.08778度

1月30日<ホクレアのクルーからの報告

太平洋の真ん中からアロハ!

昨日の日没前、船団は南に転針しました。まずはハカ・マラナイ(南微東)に向かい、次いでヘマ(南)へと向かいました。

今朝はコアエケア(シラオネッタイチョウ)とア(カツオドリ)も目にすることが出来ました。

ここしばらくの気象の変化のありようは、遠洋航海に関する良い勉強をさせてくれました。私たちは船を出す前に気象モデルを使って計画を立てます。しかし実際に航海に出れば、私たちが相手にしなければならないのは、現実の気象なのです。今回、(貿易風が予想通りに吹かなかったことで)私たちは改めて気持ちを引き締めることが出来ました。

今朝早く、北西からの大きなうねりに、さらに北寄りの成分が付け加わりました。これらのうねりは、北にある嵐や強風が発生させたものです。

黄道(こうどう)、つまり太陽と月と惑星の通り道ですが、これは航法において非常に重要な意味を持っています。というのも、月の動きを理解するには黄道の概念が欠かせないのです。昨夜、月はナマホエ(双子宮)にありました。ですから今日の月は双子宮と巨蟹宮(きょかいきゅう)の間にあるなと解るのです。

ブルースは、2艘の航海カヌーに1艘の伴走船という体制についても、説明しておいた方が良いと言っています。実はこのような体制はかつて試みられたことが無いもので、今回が初めてなんです。ジョンストン環礁まではホクレアが船団の先頭を走り、ジョンストン環礁でマイスがホクレアと交替して船団の先頭に出る予定です。

ドクター・ベン(タムラ)からのメッセージもあります。ご両親、スタッフ、そして職場の皆さんの理解と、それからここ最近の無情な南西の風を我慢してくれたことに対しても、感謝しているとのことです。

クルーの生活についてもご報告します。昨日、私たちはカワイハエで憶えたメレ(歌)を歌ってしばらくを過ごしました。もちろんマウ先生のワア(カヌー)の為に書かれた歌も歌いました。アンクル・マカは自分のギターを出してきて何曲か歌った後、カレオとパラニにギターを教えていました。

リタとマリーには、クルーから最大級のマハロを贈りたいと思います。お二人が準備してくれたホクレアの食料は、素晴らしいの一言に尽きます。私たちの故郷で頑張っている皆さんにもマハロを!

マハロ、ヌイ! カイウラニより

カツオドリに関する説明と写真については、以下のページをご覧になって下さい。
http://en.wikipedia.org/wiki/Booby

シラオネッタイチョウについては、以下のページを。
http://en.wikipedia.org/wiki/White-tailed_Tropicbird

1月29日<航法と航海全般に関するブルースからの報告

天候と帆走について:ワア(カヌー)がハワイ島を出る前の天気予報では、貿易風は着実に吹いているはずでした。ですが、現在この海域ではコナ(南西象限)からの弱い風が吹いています。直前の2晩は南西方面からの風があり、うねりは高さ20フィート(約7メートル)で、マヌ・コオラウ(北東)から来ていました。昨夜の風で船団は北西方向に流され、北に13海里、西に37海里移動しました。これは時速6マイルの海流の中に12時間居た影響も考慮した数字です。早いところこの風をやり過ごして南西方向、ジョンストン環礁に向かわなければいけません。

星について:日没の後、我々は太陽を追って沈んで来る金星を西の空に見ます。北の空にはホクパア(北極星)、ナ・ヒク(北斗七星)、イワケリイ(カシオペア)が見えています。偽十字[訳注1]と本物の南十字星、つまりハナイアカマラマは南の空にあります。ケ・カ・オ・マカリイ[訳注2]は東の空から西の空へと夜空を横切って行きます。ケ・カ・オ・マカリイが沈むのは真夜中過ぎの早い時間帯です。獅子座は真っ直ぐケ・カ・オ・マカリイの後を追っています。その後に続くのはカ・イウィクアモオ[訳注3]のホクレアとヒキアナリア(スピカ)です。

現在の緯度を知る為にも、今夜はミアプラシダスが見られることを願っています。昨夜はちょっと雲が多すぎました。

原文注:
ケ・カ・オ・マカリイとカ・イウィクアモオの「星の列」については以下のページをご覧下さい。
http://pvs.kcc.hawaii.edu/navigate/hold.html

訳注1:帆座デルタ星とカッパ星、竜骨座イプシロン星とイオタ星によって構成される十字型の星の配置。南十字星の近くにあるので南十字星と間違えやすい。南十字星より先に姿を現し、南十字星より大きい十字であるが、直立した時の根元は真南を指していない。
訳注2:「マカリイの水あか汲みをする人」という意味。ナイノアが考案したモダン・ハワイアン・ウェイファインディング特有の概念である。天球を4分割し、そのうちの1つ(に含まれる主要な星座・天体群)がこのように呼ばれている。ケ・カ・オ・マカリイに含まれる主要な星座・天体は以下の通り。
マカリイ(プレアデス星団)、カプアヒ(アルデバラン)、カ・ヘイヘイ・オ・ナ・ケイキ(オリオン)、ホクレイ(カペラ)、ナナムア(カストル)、ナナホペ(ポルックス)、プアナ(プロキオン)、アア(シリウス)、ケ・アリイ・コナ・イカ・レワ(カノープス)

訳注3:ケ・カ・オ・マカリイと同様の星座・天体群。「背骨」という意味。カ・イウィクアモオに含まれるものは以下。
ホクパア(北極星)、こぐま座、ナ・ヒク(北斗七星)、ホクレア(アルクツルス)、ヒキアナリア(スピカ)、メエ(からす座)、ハナイアカマラマ(南十字星)、カマイレムア(ケンタウルス座ベータ星)、カマイレホペ(ケンタウルス座アルファ星)

1月29日<ホクレア、マイス、カマ・ヘレのクルーより

アロハ、皆さん

2艘の航海カヌーと伴走船からの報告によれば、いずれの船も順調に航海を続けているようです。昨日から船団は微風の中に居るようですが、カマ・ヘレのマイク・テイラー船長によれば、今日の午前2時頃からまた風が戻りつつあるとのことです。この午後には風は西南西から10-15ノットとなりました。

その他、以下のような報告があります。

まず、ポマイ・バートルマンですが、彼女は今日の午後、次のように話していました。「船団との無線の回線は閉じてしまいましょう。みんな上手くやっているようですからね。チャド(パイション)が言っていましたよ。みんな海での生活に慣れつつあると。そうなったら無線は殆ど使わないでしょう。」

ホクレアに乗っているトミー・ギロンによれば、皆、食欲は旺盛なのだとか。それと、とにかく陽射しで溢れているのだそうです。

同じくホクレアに乗っているカイウラニ・マーフィーからはこんな報告がありました。「クルーは皆元気です。昨日は魚が釣れませんでしたが、ラッセルが新しい料理を作ってくれました。オルゾ[訳注1]のトマトとトーフ仕立てです。それにマカダミア・ナッツのクッキーが添えられていました。あれは美味しかったですね。アンクル・マカはクルーの何人かにギターの弾き方を教えています。」

彼女からの報告は他にもあります。航法に関するブルースからの報告を含むものです。そちらもこのブログで公開します。

カマ・ヘレのマイク・テイラーからは次のような報告があります。「船団は緊密な協力体制を保って航海を続けています。カマ・ヘレは1日の大半をマイスの近くで過ごしています。彼女が帆走する様は実に優美なものです。昨晩はゴンドウクジラの小さな群れが現れて、2時間ほど船団と一緒に泳いでいました。群れのリーダーが6フィートから8フィート(2-2.8メートル)ほどもある潮を噴き上げる様子や、船のすぐ横で巨大なクジラの背中が踊っている様子を観察することが出来ました。あれは素晴らしい経験でした。」

皆様の健勝をお祈りしています! アロハ、キャシーより。

訳注1:米の形をしたパスタ。

1月29日<最新の船位情報をお知らせ致します

小数点以下を分表示に変換する場合は、まず小数点以下の数字に60をかけ、結果を四捨五入して下さい。例えば北緯17.5525度は60×0.5525=33.15ですから、北緯17度33分となります。

ホクレア:1月29日午前11時43分、北緯17.91823度、西経163.08778度
マイス:1月29日午前4時41分、北緯17.73212度、西経162.68306度

低気圧がハワイ諸島を覆った為、船団周辺の東北東の貿易風が止みました。この朝、船団の周辺で吹いていたのは南西からの10-15ノットの風でした。

ホクレア:1月28日午後11時43分、北緯17.63778度、西経162.38111度
マイス:1月28日午後4時39分、北緯17.55250度、西経162.00990度

マイスは1月28日の午前4時40分から午後4時39分の間に、およそ23海里(42.6?)を航走しました。平均時速はおよそ2ノットでした。この辺りで船団はケアラケクア湾とジョンストン環礁の中間点に達しました。ジョンストン環礁は船団の西433海里(881?)の位置にあります。

強い低気圧がハワイ諸島の北側を通過した為、船団周辺での貿易風は弱まってしまいました。貿易風が戻ってくるのは、低気圧が東に移動する今週後半と予想されています。

ホクレア:1月28日午前11時46分、北緯17.52472度、西経161.77917度
ホクレア:1月28日午前11時、北緯17.52712度、西経161.74361度
マイス:1月28日午前4時40分、北緯17.52768度、西経161.60879度
ホクレア:1月27日午後11時、北緯17.50306度、西経161.51768度
マイス:1月27日午後4時40分、北緯17.47639度、西経161.29351度
ホクレア:1月27日午前11時1分、北緯17.42861度、西経160.82851度

※小数点以下の桁数を変更しました。

1月28日<1月28日、ホクレアのクルーからの報告

昨夜はヒッチハイカーがホクレアに便乗していました。4羽のカツオドリがバック・スプレッダーに止まっていたんです。ただ、今日の午後になって1羽は後ろ側のマヌ[訳注1]に居場所を移しています。昨日はラッセルがマヒマヒを1匹釣り上げたので、ティミが手早く料理して出してくれました。うーん、美味しかった。テリーは夕食にカマスサワラで作った芙蓉(中華風卵とじ)を作ってくれました。食事は船上での生活のハイライトの一つなんです。食事時にはクルー全員が集まってお喋りを楽しみます。

昨日の日没前には風が止んでしまったので、昨晩は星々の光の下、とても静かな夜を過ごしました。私たちは南の空に出ているミアプラシダス(竜骨座β星)を素早く確認して、緯度を推測します。昨晩のミアプラシダスは、水平線の上、およそ3度の位置にありました。そこで私たちは真夜中過ぎ、帆を完全に畳んでしまいました。それからステアリング・スウィープも引き上げて固定し、引き返す為の風を待ちました。

また、今朝はとても暑かったので、私たちは日除けの布を広げて日光を遮ってやらなければなりませんでした。朝食に出てきたのは「ヨー・オン・ザ・ゴー」のスムージーでした[訳注2]。これも美味しかったですよ。ホクレアが西に向かって流されている間にアンクル・マカが彼のギターを取り出してきて、演奏を始めました。ラッセルとティミがアンクル・マカのギターに合わせてブルースの為に1曲歌いました。

アロハ、ヌイ。カイウラニより。

訳注1:船体の前後の反り上がった部分。
訳注2:いわゆる「飲むヨーグルト」。「Yo-on-the-go」はブランド名。

1月28日<マジュロまでの航法について

参考ページ

1.ホクレアとマイスで使われている航法技術についての詳しい解説は、以下のページをご覧下さい。
http://pvs.kcc.hawaii.edu/L2wayfind.html

2.ナヴィゲーターたちが使っているハワイ式のスター・コンパスはこちらです。
http://pvs.kcc.hawaii.edu/2007voyage/2007starcompass.html

マジュロまでの航法計画

クルーのカイウラニ・マーフィーが1月24日のホクレアからの報告で書いているように、航法計画は「北緯17度まではアイナ・コナ(西南西)を維持、その後コモハナ(西)に転針してジョンストン島を視認するまでこの針路を維持」というものです。

ジョンストン島は外洋で自分の位置を知る為の目印になります。ジョンストン島を目安にすることで、ナヴィゲーターたちはマジュロまでのより正確なコースを設定することが出来るのです。マジュロはジョンストン島から方位角で245度、すなわちアイナ・コナ(西南西)の方角に1262海里(2337 km)行った所にあります。

エクスパンデッド・ランドフォールについて

ナイノア・トンプソンは1月20日のプレス・リリース(「ホクレアとアリンガノ・マイスが出航」)の中で、次のように述べました。「ジョンストン環礁を発見するのは、干し草の山の中から一本の針を見つけ出すようなものです。ジョンストン環礁は極めて小さい島ですし島の高さも低い。し かも木は殆ど生えていません。ナヴィゲーターがジョンストン環礁を発見する上で最も重要となるのは、島に住んでいる海鳥たちです。・・・」

ナヴィゲーターたちが陸地を探す際に利用するのは、ノイオ(クロアジサシ)とマヌ・オ・ク(シロアジサシ)です。これらの鳥たちは朝、島から海に出て魚を捕り、夜にはまた島に帰って行きます。ノイオが島から離れるのは一般的に言って40マイル(64?)の範囲内、マヌ・オ・クが島から離れるのは同じく120マイル(192?)の範囲内です。

※これらの鳥たちの写真や、海鳥を利用する以外の陸地発見の方法については、以下のページをご覧下さい。
http://pvs.kcc.hawaii.edu/navigate/land.html

いざ島を見つけようとする時、ナヴィゲーターたちはまずアジサシたちを日出時と日没時に探します。もしも夜明けにアジサシを見つけられたなら、島はアジサシたちが飛んでくる方角のどこかにあります。もしも夕暮れ時にアジサシたちを見つけられたなら、島はアジサシたちが飛んでいく方角のどこかにあります。

ジョンストン島に営巣している鳥たちの存在を利用すれば、本来ならば長さ2マイル(3.2?)、幅1マイル(1.6?)にも満たないジョンストン島の大きさを、最大で直径240マイルもの円に拡張することが出来るのです。

※ジョンストン島の写真や各種の野生動物についての情報は、以下のページをご覧下さい。
http://www.fws.gov/pacificislands/wnwr/pjohnsnwr.html

アジサシ以外の鳥たちは、島を見つけ出す際にはさほど有力な手がかりになりません。アジサシ以外の鳥たちは1日以上も空を飛び回っていたり、海上で夜を明かしたりすることが少なくないのです。ある種の海鳥などは、その生涯の大半を海の上で過ごすほどです。

ナヴィゲーターたちが首尾良くジョンストン環礁を発見出来なかった場合の選択肢は、ジグザグに帆走してジョンストン環礁を探し続けるか、あるいはそのままマジュロを目指すかの2つです(航法器具を使用しないナヴィゲーションでは、確実性よりも戦略性が重要なのです。インターネットで船団の航跡を追っている私たちは、GPSの信号を利用して船団の位置を正確に把握することが出来ますが、ナヴィゲーターやクルーはそうした情報を知らないままなのです。彼らに判るのは、島が近いかどうかということだけです。彼らはそれまでに進んだ距離や進んだ方角の推算、夜空の観察、大気の観察、海の観察などを通して、それを知ることが出来るのです)。

マジュロは比較的近距離で隣り合っている環礁群の一部です。これらの環礁群はマーシャル諸島と呼ばれ、経度にして東西に10度、南東から北西の方角に600海里に渡って連なっています。ハワイやジョンストン環礁から見ると、アイナ・コナ(西南西)の方角にあります。船団がジョンストン環礁を視認出来なかった場合でも、ジョンストン環礁付近から西南西に向かって航海を続ければ、マーシャル諸島のどこかには辿り着くのです(ナヴィゲーターにとってマーシャル諸島に含まれるそれぞれの環礁は、そこに住んでいるアジサシたちによって大幅に拡張されて存在しているのです)。船団はマーシャル諸島に差し掛かってから、改めてマジュロに向かうことになりますが、マーシャル諸島内ではマジュロに近づくに従って、島と島の距離は近くなっていきます。

天体

ナヴィゲーターたちは天体を利用してカヌーを導いていきます。彼らが主に利用するのは太陽、月、ホクパア(北極星)、ホクロア(金星)です。これらの天体が水平線の近くにある時には、方角を知る為の目印として利用出来ます。例えばこの季節の太陽はアイナ・マラナイ(東南東)から上ってアイナ・コナ(西南西)に沈みます(日出と日没の位置は毎日少しずつ北に移動して行きます。3月22日の春分の日には、太陽は正確にヒキナ(東)から上り、正確にコモハナ(西)に沈むのです)。

この季節に西南西を目指すのであれば、太陽が沈もうとしている時間帯に真っ直ぐ太陽の方角に船を向けてやれば良いのです。

ホクロア(金星)は太陽の後を追って空を動き、日没の1時間半後に水平線に沈んでいきます。ホクロアが沈むのはラ・コナ(西微南)のハウス[訳注1]です。西南西の針路を維持していれば、ホクロアは船首の右側の1つ目のハウスに沈んでいくはずです。

月もまた東から上って西に沈みますが、厳密な月出と月没の位置は毎晩変化しますし、月出や月没の時刻も月の満ち欠けとともに変化しています。日がある間に上ってくる月は、他の天体が見えない時に方角を知る為の目安としては充分に役に立ちます。

ホクパア(北極星)は天の北極のすぐ近くにあります。つまり北半球では夜間、ホクパアは常に見えているのです。ですからホクパアは、北がどちらかを知る為の確固たる目印になります。西を目指している間、ホクパアは常にカヌーの右手に見えています。ホクパアを利用して西南西の針路を維持する際には、ホクパアを右舷の中央から見て2つ後ろのハウスに置いてやれば良いのです。

ホクパアの高さもまた、緯度を知る為の手がかりになります。北緯17度においては、ホクパアは水平線の上17度の所に見えるのです。ナヴィゲーターは伸ばした手を利用して、天体の高さを測ります。ナヴィゲーターは、自分の手のどの部分が天体の何度の高さに対応しているかを知っているのです。

ハナイアカマラマ(南十字星)は、早朝、太陽が昇ってくる直前に直立します。その根本は真南を指し示しています。ハナイアカマラマが天の子午線[訳注2]を通過する時の高さもまた、緯度を知る為の手がかりになります。北緯17度においては、ハナイアカマラマの根元の星は水平線の上9度の所に見えます。

竜骨座のミアプラシダスが、真夜中の直後に天の子午線を通過しました。この時のミアプラシダスの高さは3度。テュライス(竜骨座イオタ星、日本ではアスピディケの呼称の方が一般的)とスハイル(ここでは帆座のラムダ星)はその真上にあって、この3つの星を結んだ線は、水平線に対し直立しています(1月28日のホクレアのクルーの報告を見てください)。

ナヴィゲーターたちは方角や緯度を知る為の手がかりとして、その季節や緯度で利用出来る星ならば全て利用しています。例えばこの季節、ホクレア(アルクツルス)は午後11時にアイナ・コオラウ(東北東)から上ってきますし、アア(シリウス)は午前3時頃にアイナ・コナ(西南西)に沈みます。
全天でも最も明るい星々の上る位置については、以下のページをご覧になって下さい(沈む位置は上る位置とは空を挟んで反対側の、同じ名前のハウスです。スター・コンパスの北東の象限から上った星は北西の象限に沈み、南東の象限から上った星は南西の象限に沈みます)。
http://pvs.kcc.hawaii.edu/navigate/BrightStars.html

日出と日没時、ナヴィゲーターたちは航海カヌーを太陽に真っ直ぐに向けて、カヌーの向きを目安にして、うねりが来ている方角はどちらかを観察します。貿易風波は東の方から来ます。このうねりは日出の位置より若干北からやって来て、日没の位置より若干南の方角へと向かいます。昼間、ナヴィゲーターたちはうねりの影響を受けた航海カヌーの揺れ方で方角を判断し、針路を維持します。星が見えない夜にもこの技術は用いられます。

オンライン・プラネタリウム

この季節に見ることが出来る明るい星はどれか、それらの星々はいつ頃上ってきて、いつ頃沈んでいくのか、それはどの方角なのかといったことを調べるのであれば、次のウェブサイトを利用すると良いでしょう[訳注3]。
http://skytonight.com

訳注1:ハワイ式のスター・コンパスでは水平線を32分割し、分割されたそれぞれをハウスと呼んでいる。1つのハウスに含まれる方位角は11.25度である。
訳注2:天の北極と天の南極を結ぶ仮想の直線。必ず観測者の頭上を通る。
訳注3:このウェブサイトは英語です。日本語のオンライン・プラネタリウムとしては次のウェブサイトが便利です。現在の船団の位置(北緯17度付近、西経156度付近)を入力すれば、ホクレアの船上から見えるのと同じ夜空を見ることが出来ます。
http://www.stellatheater.com/

1月27日<1月27日、カマ・ヘレのクルーからの報告

ホクレアとマイスに伴走しているモーター・クルーザー、カマ・ヘレからご挨拶申し上げます! 今日、1月27日土曜日は素晴らしい一日でした。風は弱いのですが、私たちはジョンストン島目指して西南西へと航海を続けています。私たちが目印にしているのは沈んでゆく夕陽、そして眩く輝く金星です。金星は太陽の2時間後に水平線に沈んでゆきます。
私たちは1月24日、水曜日の朝、ビッグ・アイランドの南側の海域を最終的に後にしてから、ひたすら夕陽を目指すコースを維持して来ました。それから丸4日間こうして帆走して来ましたが、私の予想では、そろそろハワイ諸島とジョンストン島の中間点に差し掛かっているはずです。皆、航海を楽しんでいると思います。穏やかな晴天が続いていて、雨は少ししか降りませんでした。スコールはまだ経験していません。
そういえば、ケアラケクア湾の出口で2艘のカヌーと合流した時には垂らしておいた釣り糸がいきなり凄い音を立てたんですよ。船長のマイク・テイラーがリールを巻き上げてみると、25ポンド(11.35?)もある綺麗なカマスサワラがかかっていました。これは3日分の夕食になりました。それ以来、釣果はおろかアタリすらありません。アジサシやカツオドリの様子から見て、魚の群れが船の近くに居たことは何度もあったはずなんですが。

カマ・ヘレはずっと2艘のカヌーを追走しています。2艘の航海カヌーが海の上を滑るように進んで行くのを見るのは、本当に感動的な経験ですよ。2艘はまるでサーフィンでもしているように波に乗っているんです。信じられないような光景です。今日は大きなサメがカマ・ヘレと並んで泳いでいるのも目撃しました。あれには興奮しましたね。おそらく12フィートから14フィート(約4.2メートルから4.9メートル)はあったと思います。ああいった大きな生き物を目撃したのは、2週間ほど前にオアフ島の母港を出てビッグ・アイランドに到着して以来、これが初めてだと思います。カマ・ヘレがオアフ島を出てビッグ・アイランドに到着するまでには34時間かかりましたが、実はモロカイ島、ラナイ島、カホオラヴェ島、マウイ島の間を抜けてくる時、鯨やイルカを何頭も目撃していたんですよ。

太陽はもう沈んでいるので、2艘の航海カヌーはお互い目視出来る距離に近づいて航行しています。これまでの所、航海は極めて順調です。私たちは皆、この後も素晴らしい航海が続くだろうと予想しています

カマ・ヘレのクルー、ジェームス・ハッドより

1月27日<最新の船位情報をお知らせします。

ホクレア:1月27日午前11時1分、北緯17.2571度、西経160.8285度
マイス:1月27日午前4時40分、北緯17.2935度、西経160.1202度

ホクレア:1月26日午後11時、北緯17.32244度、西経159.4309度
マイス:1月26日午後4時39分、北緯17.48823度、西経159.26583度

ホクレア:1月26日午前10時59分、北緯17.45018度、西経158.80139度

1月27日<1月26日金曜日、ホクレアのクルーからの報告

夜明けの直前に私たちは針路をコモハナ(西)に転じました。追い風状態での帆走なので、クルーは針路を保つのに必死です。昨夜は晴れていて素晴らしい夜空を見ることが出来ました。また空気も少し暖かくなっているように思います。南に向かっている間はホクパア(北極星:航法に利用されます)が良く見えていました。マイスもカマヘレも順調に帆走しています。クルーは皆、良くやっています。

イア(魚)も釣れていますよ。今朝は2匹のマヒマヒ(シイラ)がかかったので、それで今日の釣りは終わりにしました。ティムとパラニがそれぞれ1匹ずつ捌いてサシミにしました。余った分はノヘアがパンコ[訳注1]とニンニクをまぶしてフライにしました。それでも余った分は干し魚にして、また後で食べることにしました。

それから、今日は1羽のコアエケア(シラオネッタイチョウ)も目にしました。昨日は2羽のアホウドリ、それとカツオドリも見ましたね。カツオドリは日が落ちる頃にバック・スプレッダー[訳注2]に止まって、そのまま一晩中そこに居ました。

温かいアロハを込めて、カイウラニより

訳注1:パン粉を英語ではcrumbと呼ぶが、ハワイでは日系移民の影響でそのままpankoと呼んでいる。
訳注2:船の後部にある横桁。

1月26日<SOESTトラッキング・マップが稼働しています

SOEST(ハワイ大学マノア校・海洋地球科学技術学部)のトラッキング・マップが利用出来るようになりました。以下のURLで船団の航跡が表示されています。

http://hokulea.soest.hawaii.edu/

1月26日<午前10時59分の船位

最新の船位情報をお知らせいたします。上にあるほど新しい情報です。

ホクレア:1月26日午前10時59分、北緯17.45018度、西経158.80139度
マイス:1月26日午前4時40分、北緯17.51379度、西経158.22861度
ホクレア:1月25日午後10時59分、北緯17.80167度、西経157.91573度
マイス:1月25日午後4時39分、北緯18.17000度、西経157.61361度

1月26日<教室で航跡図を作ってみましょう

1)下記のURLの図をもとに航跡図を作成します。
http://pvs.kcc.hawaii.edu/2007voyage/2007trackinggrid.html

ポリネシア航海協会が作成したミクロネシアの海域図も参考にして下さい。
http://pvs.kcc.hawaii.edu/2007voyage/2007micronesiamap.gif

同様に、日本列島の図も参考にして下さい。
http://pvs.kcc.hawaii.edu/2007voyage/2007japanmap.gif

2) 1センチを(緯度・経度)1度とする場合、航跡図は幅92センチ、高さ45センチになります[訳注1]。
3) 航跡の記録をやりやすくする為、航跡図の四隅に緯度・経度1度ごとの目印を付けておきましょう。基本となる航跡図では、緯度線・経度線は5度ごとに入っています。1度あたり1センチで航跡図を作るのであれば、1センチごとに目印をつけておけば良いでしょう。

4) ホクレアとアリンガノ・マイスが訪問する島々を描き込みましょう。ウェブ・バージョンの航跡図に描き込まれている緑色の四角は、それらの島々の大まかな位置を示しています。それぞれの島の形は、インターネットで検索して見つけてみましょう。

太平洋各地の緯度・経度を調べたい時はこちらのウェブサイトを利用して下さい。
http://tidesandcurrents.noaa.gov/tides07/tab2wc3.html

日本列島各地の緯度・経度を調べたい時はこちらのウェブサイトを利用して下さい。
http://www.mapsofworld.com/lat_long/japan-lat-long.html

5) 皆さんが作った航跡図のサイズにもよりますが、スペースに余裕があれば使わない部分にカヌーの絵やスター・コンパスを描いてみるのも良いでしょう。あるいはそれぞれの島の文化や歴史について調べたことを書き込んでおくのも良いかもしれません。スター・コンパスのイラストは下記のURLを参考にして下さい。
http://pvs.kcc.hawaii.edu/2007voyage/2007starcompass.html

訳注1:原文はフィート・インチ法で書かれていますが、日本では理解しづらいのでセンチ法に変更しています。

1月26日<緯度・経度情報の利用について 2

マイスの最新の緯度・経度情報(1月25日午後4時39分、緯度18.17000、経度-157.61361)から以下のような情報を導き出すことが出来ます。

1月23日午後5時30分にカワイハエ港を出港してから船団はまず南へ、次いで西へと針路を取りました。1月25日午後4時39分、船団はカワイハエ港から244?(131.76海里)離れています。ケアラケクア湾から見た船団の方位角は227度、つまりマヌ・コナ(南西)の方向です。

1月24日午前11時、船団が西に転針した地点(緯度19.08129、経度-156.08240)からの航走距離は190.5 km(102海里)。現在の船団の位置は、この地点から見てノイオ・コナ(南西微西)の方向にあります。方位角で言うと238度です(船団はより強い風を掴まえる為、北緯16.75度まで南下します。そこから真西に向かってジョンストン環礁を目指します)。平均速度は4.25ノットです。

1月25日の午後4時39分、船団はジョンストン環礁まで1273 km(687海里)の地点に居ました。ちなみにそこからマジュロまでは3576 km(1931海里)です。

船団が現在の速度、4.25ノットを維持出来ると仮定すると、ジョンストン環礁までの航行時間は161時間(6.7日間)となります。マジュロまでは454時間(19日間)です。

所用時間の推測はカヌーの平均速度を元にしています。カヌーの平均速度は平均風速から導きだされます。毎日「WIND/WAVE ANALYSIS FOR THE CENTRAL PACIFIC」のウェブサイト( http://www.prh.noaa.gov/hnl/graphics/seastate_00.gif, )を見ていれば、風速は一定しているのか、あるいは変化しているのかが判ります(現在の風速は15ノットから20ノットの間を保っています。これは南へ行くほど強くなります)。風が弱ければ船足は落ちますし、風が強ければ船足は上がります。

「SURFACE WEATHER ANALYSIS FOR THE CENTRAL PACIFIC」の読み方を http://www.prh.noaa.gov/hnl/graphics/pmsl_00.gif で勉強すれば、今後の風の変化を予測してみることも出来ます。直近の2ヶ所の船位情報を使って船団の平均速度を算出してみるのも良いでしょう。

次のウェブサイトを利用すれば、船位情報から色々なデータを算出することが出来ます。
http://www.movable-type.co.uk/scripts/LatLong.html
詳しくは前回の「緯度・経度情報の利用について」をご覧下さい。

ケアラケクア湾の緯度は19.67、経度は-155.92です。船団がここを出発したのは1月23日の午後5時30分でした。
ジョンストン環礁の緯度は16.75、経度は -169.52です。
マジュロの緯度は07.08、経度は171.38です。

太平洋各地の緯度・経度を調べたい時はこちらのウェブサイトを利用して下さい。
http://tidesandcurrents.noaa.gov/tides07/tab2wc3.html

日本列島各地の緯度・経度を調べたい時はこちらのウェブサイトを利用して下さい。
http://www.mapsofworld.com/lat_long/japan-lat-long.html

1月25日<ケアラケクア湾の出航の様子と、洋上から届いた写真を公開しました

ケアラケクア湾を出航する船団の写真と洋上を5ノットで航行しているホクレアとマイスの写真を、ギャラリーに公開いたしました。サムネイルをクリックすると大きな画像が開きます。

1月25日<午後4時39分の船位

最新の船位情報をお知らせします。

マイス:1月25日午後4時39分、北緯18.17000度、西経157.61361度

1月25日<ホクレアのクルーからの報告

アロハ!

今日は衛星電話でメールが送れるみたいですね。ごめんなさい、昨日はまだ使い方が良く判らなかったんです。マイスの方も同じだったようです。クルーはみな元気です。昨日の日没前にはマヒマヒ(シイラ)が1匹かかりましたよ。それから昨日はラジオ局に電話をかけるのも忘れていました。明日の朝はちゃんとコックス・ラジオに電話をかけますからね。

マハロ、ヌイ。カイウラニより。

(以前のログより)

ハワイ時間で毎週月曜、水曜、金曜日の午前7時から8時の間に、カヌーの船上からコックス・ラジオに衛星電話をかける予定です。この時、KKNE-AM940ラジオ・ホノルルのケアウミキ・アクイがクルーにインタビューを行います。会話は録音されて、KINE、KCCNおよびKKNEのウェブサイトでウェブキャストされます。

http://am940hawaii.com/MARKET/shared/news/hokulea.html

毎週金曜日にはOHA(ハワイ先住民局)がチャーター・スクールの子供達をラジオ局に連れて行って、クルーとの会話に参加させる予定です。

1月24日<ホクレアのクルーからの報告

1月24日水曜日

Aloha ‘aina ka waihona o ka na’auao o ka ‘ohana, kanaka maoli.

私たちは帆に風を受け、ハワイから遠ざかりつつあります。気分は最高です。太陽が燦々と照りつけていますが、うねりと波が私たちの体を冷やしてくれています。そういえば、1999年のハワイ・サイパン航海「エ・マウ」[訳注1]やラパ・ヌイ(イースター島)からハワイへの航海で愛用していた、お気に入りの「マウイ・ジム」のサングラスが壊れてしまいました。まだ1日目だというのに。アーネット、子供達にもよろしく伝えてください、MJを見習って頑張るように。カワイハエからこの方続いていたコールド・バグ[訳注2]もようやく直りました。スピンネーカー[訳注3]は見た目も性能も素晴らしいです。ホクレアは前へ前へと進みたがっているみたいですね。ホクレアは風と波の合唱の中を疾走しています。

Mahalo ke akua ha ele pu o Kane Kanaloa e Kane loa e.

ホロカヒキ(航海者)のマカより

(以上はマカからのメッセージです・・・)

カワイハエ、そしてケアラケクア湾で我々の面倒を見てくださったハワイ島のオハナの皆さん、マハロ・ヌイ(本当にありがとう)。あの美しい湾で三度の夜を過ごした後、ホクレアとマイスは日没直前に錨を上げました。アラカイとカマヘレが2艘のワア・カウルア(ダブル・カヌー)に伴走し、我々はカラエを目指して南下して行きました。そして、夜明けとともに船団はアイナ・コナ(西南西)に針路を向けました。北緯17度に到達するまで我々はこの針路を維持します。北緯17度に達した時点で我々はコモハナ(西)に転針し、ジョンストン環礁を目視するまではそれを維持します。ホクレアはフォワード・セイルとジブ[訳注4]のみで帆走しており、速度は平均で6ノットです。ブルース(ブランケンフェルド)は太陽と月を利用して的確な航法を行っています。マイスはホクレアのすぐ後ろにいます。メイン・セイルとジブを開いて帆走する姿が綺麗です。カマヘレもさほど遠くない所を追走しています。アラカイは今朝、カワイハエへと戻って行きました。今日はまだ魚はかかっていません。この航海の最初の釣果は土曜日に上がった2匹のアヒ(キハダマグロ)でした。ケアラケクア湾を目指している最中でした。

アロハ、ヌイ! カイウラニより

追伸:画像を50キロバイト以下に圧縮する方法が判らないので、送れませんでした。ごめんなさい。

訳注1:1999年に航海カヌー「マカリイ」が行ったミクロネシア航海のこと。
訳注2:低温下でコンピュータの動作がエラーを起こすこと。
訳注3:主にレースに使用される大型の三角帆。
訳注4:前後に2本あるホクレアのマストのうち、前のマストに張られている帆を「フォワード・セイル」と呼ぶ。また「フォワード・セイル」の前に張られている小型の補助的な帆が「ジブ」である。

1月25日<1月25日、午前10時59分の船位

直近3件の船位情報をお知らせいたします。

マイス:1月24日午後11時、北緯18.92056度、西経156.69639度
マイス:1月25日午前4時41分、北緯18.75306度、西経156.98434度
ホクレア:1月25日午前10時59分、北緯18.41296度、西経157.28750度

1月25日<マヌカ・・・・

共に航海を続けましょう!

太陽の光がマヌカの崖に降り注ぎ、カヒキ(異国)への途を照らし出しています。母と子は、臍帯が断ち切られる一瞬を辛抱強く待つものです。紫、青、ピンク、そして鮮やかなオレンジ色の眩い陽光が踊りました。今こそその時です。母親は我が子に尋ねます。「旅立つ準備は出来ましたか?」。子は応えて言います。「大丈夫です。貴女に付いて行きます。」

数分後、ホクレアはマイスを注意深く見守りながら、風を帆に目一杯受けて船団の先頭へと躍り出ました。彼女の挙措は自信に満ちあふれており、波間に揺れるその姿は優美そのものでした。やがてマイスも彼女のような船へと育ってゆくことでしょう。そしてカマ・ヘレが2艘の航海カヌーを見守っているのです。

家族、友人たち、そしてコミュニティの愛と支援を受け、3艘の船のクルーは一歩また一歩と目的地に近づいて行きます。アラカイは、3艘の旅立ちという美しい光景を畏敬の念をもって見届けました。

ホクレアは優しいうねりに揺られながら、確信とともに船団を導いて行きます。彼女は海そのもののリズムに同調しながら、先へと進んで行くのです。深い青色を湛えた水の中に彼女の「足」を初めて浸している現在のマイスの興奮を、皆さんに想像していただけるでしょうか。3艘は今、もっとも相応しい場所にいます。彼らは航海に出たのです・・・・・彼らは3艘の船で、1つの航海をしています。私たちは航海の伝統、航海から生まれる価値観という遺産を守り、後世に伝えて行こうとしています。また私たちは師に教えられた知識を活用し、さらに新たなものを学び続けています。これからも私たちは自らの経験に学び、それを共有し、記録して行くつもりです。

皆様の変わらない御支援、皆様の暖かい言葉、私たちが取り組んでいるものに皆様が向けて下さっている敬意と信頼に感謝いたします。私たちは、私たちが全てを知っている存在ではないことを痛感しています。私たちは常に学びを続けています。全ての航海はそれぞれに異なっています。ですから、新たな航海に取り組む度に私たち個人個人が新しい技術を習得し、個人としても成長しなければならないのです。

マハロ エ ケ アクア・・・アロハ ノ・・・

ポマイより

1月25日<緯度・経度情報の利用について

昨日、2007年1月24日の午前11時から午後4時30分の間に、2艘のカヌーは4.5ノットの速度でおよそ25海里をコモハナ(西)方向に移動しました(2艘が予定通りに近接して航行していると仮定して)。

以上の計算は、下記のウェブサイトに緯度情報と経度情報を入力して行われたものです。
http://www.movable-type.co.uk/scripts/LatLong.html

もしも緯度情報と経度情報が判っていれば、このウェブサイトを利用することで次のような計算が可能です。

(1)一つ目の船位から二つ目の船位までの間の船団の航走距離(単位はキロメートルです。海里に変換する場合は出てきた数字に0.54をかけて下さい)。

(2)一つ目の船位と二つ目の船位の間で変化した方位角(単位は度です。英語のコンパスやハワイ語のコンパスにおける方位名に変換したい時は、以下のイラストを利用して下さい)。
http://pvs.kcc.hawaii.edu/2007voyage/2007starcompass.html)

(3)船団が移動した距離と方向を示したグーグル・マップ(すばらしいグラフィックです)。

例えば、1月24日に船団から連絡があった二つの船位(午前11時の時点で19.08129:-156.08240、午後4時30分の時点で19.03851, -156.51601)を入力すると、船団がこの5時間半の間に移動した距離と方位角が判るわけです。
※緯度にマイナスが付いていた場合は南緯、何も付いていない場合は北緯。同様に経度にマイナスが付いていれば西経、何も付いていなければ東経を意味します。

実際に計算してみた結果は、次のようになります。

(1) 45.82キロメートル(24.74 海里)

(2) 参考までに、ハワイ島のコナ地区から見たジョンストン環礁の方位角は264度6分で、(ハワイのスター・コンパス上では)コモハナ(西)とラー/コナ(西微南)の間に当たります。

(3) 船団の平均速度は4.5ノット(24.74海里を5.5 時間で割る)

ノット、海里、緯度、経度、方角に関するより詳しい説明が必要な場合は下記のウェブサイトを参照してください(英語)。
http://virtualskies.arc.nasa.gov/navigation/tutorial/tutorial5.html

1月25日<最初の寄港地、マーシャル諸島とマジュロに関するリンク集

*マーシャル諸島共和国大使館
地図、各種情報、マーシャル諸島とマジュロに関するリンク集があります。
http://www.rmiembassyus.org/index.htm

*マーシャル諸島の地図
http://www.rmiembassyus.org/Geography.htm

*マジュロの地図
http://www.rmiembassyus.org/Indiv%20Atolls/Republic%20of%20the%20Marshall%20Islands%20-%20Majuro%20Atoll.htm

*マーシャル諸島の文化に関するページ
伝統的なカヌーや航海術、スティック・チャート[訳注1]についての説明があります。
http://www.rmiembassyus.org/Culture.htm

*ワアン・アエロン・イン・マジェル(「マーシャル諸島のカヌー」)
http://wamprogram.org/overview.htm

*マーシャル諸島の環境問題についてのページ
http://www.rmiembassyus.org/Environment.htm

*マーシャル諸島における核実験についてのページ
http://www.rmiembassyus.org/Nuclear%20Issues.htm

訳注1:貝殻と細い棒を組み合わせて作ったマーシャル諸島独特の伝統的な海図。

1月24日<24日午前、船団は5ノットから6ノットの速度でサウス・ポイントに接近中/24日午後の船位

アロハ

10時30分頃入った最新の報告によれば、2艘のカヌーは総帆状態(全ての帆を開いた状態)で、サウス・ポイント付近を南へ向かって航行中とのことです。速度は5ノット(時速9.26?)から6ノット(時速11.11?)。12時まではポマイ・バートルマンがアラカイ[訳注1]に乗って船団に同行する予定ですが、彼女の話では、洋上を行くホクレアとアリンガノ・マイスの姿は本当に美しく、クルーはみな笑顔で航海を楽しんでいるそうです!! 皆様がこの航海に寄せて下さっている祈りと御支援に感謝いたします。

アロハ、キャシーより。

1月24日午前11時のホクレアの位置:北緯19.08129度、西経156.08240度
1月24日午後4時30分のアリンガノ・マイスの位置:北緯19.03851度、西経156.51601度

訳注1:普段、航海カヌー「マカリイ」の伴走艇として使用されている小型のボート。

1月23日<あまりにも美しかった旅立ちの光景

晴れ渡った空の下、そして高さを増す波とともに、アリンガノ・マイスとホクレアはケアラケクア湾に降ろしていた錨を上げました。今日の午後、4時45分頃のことでした。集まった友人達やクルーの家族達、地元の方々の数はおよそ40人。岸辺に集まった人々が手を振って別れを惜しむ中、カフ(神父)のカニアラ・アカカ師がホラ貝を吹き鳴らしました。まずはホクレアに向けて、次いでアリンガノ・マイスに向けて。

それは、あまりにも美しい光景でした。修理を完了したステアリング・スウィープが取り付けられた二艘のカヌーは、ナイア(イルカ)とともにケアラケクア湾の角を曲がり、伴走船カマ・ヘレと合流して旅立って行きました。これが5時30分頃でした。船団は良い風を掴まえる為に、まずはサウス・ポイントへと向かいます。

サウス・ポイント沖で船団は西南西に針路を取り、ジョンストン環礁経由でマジュロを目指します。航海の最初のレグはおよそ2200海里(約4074?)。航海に要する日数はおよそ22日間と見積もられています。

ポリネシア航海協会会長のナイノア・トンプソンはこの第一レグには参加しませんが、今日の出航について次のように語っています。

「今日という一日は、私たちに力を与えてくれる一日でした。2艘のカヌーは出航しました。ステアリング・スウィープにヒビが入った時には困ったことになったと思いましたが、実はこれは私たちへの贈り物だったんです。故郷の島に戻った私たちは、この神聖で美しいケアラケクア湾でしばらく時を過ごすことになりました。そしてこの時間が、リーダーたちの結束をより強めてくれました。リーダーたちの結束は、この航海を成功させる最も重要な鍵です。航海が続けば私たちは複雑な問題、困難な問題にぶつかるでしょう。しかし、私は今、こうして出航してゆく船団を見て大いに勇気づけられました。問題は必ず乗り越えられるでしょう。何と言っても、船団には抜群のリーダーシップが存在していますから。ホクレアの船長兼ナビゲーターのブルース・ブランケンフェルドとアリンガノ・マイスの船長のチャド・パイション。彼らはそれぞれが偉大なリーダーですが、二人揃った時、彼らはさらにお互いの能力を高めあうことが出来るんです。私は彼らのような人間たちと一緒にやってきたことを心から誇りに思っていますし、彼らの力が一つになった瞬間に立ち会えたこともまた、心から誇りに思っています。」

船団はコスラエ、ポンペイ、チューク、プンナップを経由してサタワルに向かい、そこでアリンガノ・マイスは私たちの師、マスター・ナビゲーターのマウ・ピアイルグ氏に寄贈されます。それからさらに船団はウォレアイ、ユリシー、ヤップ、パラオと航海を続けます。

パラオからアリンガノ・マイスは母港となるヤップに引き返します。ホクレアはパラオから沖縄に向かい、合計8つの港に寄港する予定です。この日本航海は、日本とハワイの間の文化的・歴史的な繋がりを祝福し、また日本人のハワイ移民が始まるきっかけとなった1881年のカラカウア王の横浜訪問を記念する為のものです。

皆さんがこの航海と素晴らしいクルーたちに寄せてくださっている愛と応援に感謝致します。

アロハ、キャシーより。

ハワイ島の南側の風況図はこちらです。
http://www.ndbc.noaa.gov/quikscat.php?station=51004

ハワイ諸島沖40海里(74?)から240海里(582?)の海域の天気予報はこちらです。
http://weather.noaa.gov/cgi-bin/fmtbltn.pl?file=forecasts/marine/offshore/ph/phz180.txt

1月23日<早くも今夜、日没頃には出航です

アロハ。

アリンガノ・マイス、ホクレア、伴走船カマ・ヘレの3艘のケアラケクア湾出航は今夜、おそらく日没頃を予定しています。ショーティー、チャド・パイション、ナイノア、ブルースの4人は今朝ミーティングを行い、出航時刻を発表しました。これを受けて集まった2艘のクルーは、ケアラケクア湾に浮かぶアリンガノ・マイスとホクレアに「マカリイ・アイハア」「ホクレア・アイハア」「マウズ・オリ(マウを讃える歌)」を捧げました。美しくも感動的なひとときでした。

ここ数日間、私たち全員をもてなしてくれたアンクル・ゴードン、ステアリング・スウィープを直してくれたジェリー、そして皆さん、特に料理の腕前を披露してくれたマカリイ[訳注1]の人々に感謝。

船団が出航したらまたメールを送りますね。

アロハ! キャシーとポマイより

ハワイ島の南側の風況図はこちらです。
http://www.ndbc.noaa.gov/quikscat.php?station=51004

ハワイ諸島沖40海里(74?)から240海里(582?)の海域の天気予報はこちらです。
http://weather.noaa.gov/cgi-bin/fmtbltn.pl?file=forecasts/marine/offshore/ph/phz180.txt

訳注1:カワイハエで1995年に建造された航海カヌー。1999年にはホクレアに先駆けてサタワル島やグアム島を訪問している。アリンガノ・マイスはマカリイを運営するグループによって建造された。

1月23日<1月22日午後、最新情報

ハワイ島、ケアラケクア湾発?ステアリング・スウィープの柄の補修は順調に進んでいます。明日、1月23日に補修は完了すると思われます。その後、ステアリング・スウィープは再びカヌーに装着されます。ステアリング・スウィープのテストが済み、更に天候と風の状態を分析した後、はじめてリーダーたちは出航時刻を決定します。出航時刻が決まりましたら、またお知らせいたします。

1月22日<共にこの時を味わいましょう!

航海の準備の間、常に私たちが抱いていた焦燥感を、足裏から伝わるデッキの木の感触が静めてくれています。出航を待つ間、私たちは約束へのクレアナ(責任感)、使命へのクレアナ、私たち自身の未来へのクレアナを再認識させられています。

ケ・アクア(神々)は私たちに、この美しい場所で「私たち自身の準備」をする機会を与えてくださったのです。ここには全てを包摂している村があります。また、ここで私たちが手に入れる記憶は、私たちのクプナ(祖先)の記憶を写し取ったものなのです。この場所において私たちは自らの焦りを克服し、さらに自らの魂を若返らせるのです。

私たちの肉体の火照りは、このトルコ石のような色をした静謐な海水で静められます。海に潜っているうちに私たちの意識からは雑念が取り払われ、私たちは母なる海の穏やかな心音だけに耳を傾けるのです。遙かなカヒキ(常世の国)から打ち寄せる波が、私たちの浜辺に新しい生命と物語を運んで来ます。そしてまたこれらの波は、マイスとホクレアの物語をたずさえて還っていきます。海へと還っていった波は、やがて世界中の全ての国の浜辺でヴォヤージング・オハナの魂を語り、パパ・マウとミクロネシアのモオレオ(伝説)を語ることでしょう。

私たちはプアレフア(オヒアの花)の故事に倣うべきでしょう。彼女(航海カヌー)は今まさに誕生しようとしているのであり、彼女には航海に出る準備を整える時間が必要なのです。彼女の体が航海への準備を済ませた時、彼女の索具(ロープ類)はパア(堅牢な状態)となる。そして、それこそが出航の時なのです!

マハロ ケ アクア・・・メ カレオ ハアハア、メ ケアロハ ヌイ!
ポマイより

1月21日<ホクレア号およびアリンガノ・マイス号最新情報

ハワイ島ケアラケクア湾発?ステアリング・スウィープの柄の補修作業は、ホナウナウ在住で古くから「ヴォヤージング・オハナ[訳注1]」の仲間でもある木工職人が、彼の工房で行っています。補修作業は今夜、あるいは明朝に完了する見込みです。その後、およそ12時間かけて乾燥させた後、再びカヌーに結縛されてテストを受けます。

今回の航海において、船団は中部太平洋とミクロネシア海域の大半で追い風での航走となりますから、ステアリング・スウィープは特に重要なのです。ポリネシア航海協会の会長、ナイノア・トンプソンは、次のように述べています。「通常、私たちは帆の操作のみで航海カヌーの進む方向を決めることが出来ます。しかし風下に向かって航走する場合、ステアリング・スウィープは絶対に必要なのです。」

また彼は、「このような過程もまた航海の一部なのであり、我々のクルーは2組に分かれてはいても1つの家族なのである。また全員が一致団結して安全の確保に努めている。」とも述べ、最後に「今回のことは我々の団結を強めてくれた。団結もまたこの航海には不可欠なものである。」と締めくくりました。

トンプソンによると、「出航は明日あるいは明後日となる可能性が高いが、詳細は明日の午後早い時間帯に行われるリーダー・ミーティングで話し合われる」とのことです。

註:これまでホクレアが行ってきたような南太平洋への往復航海においては、航海カヌーは常に風を横から受けて進みます。東からの貿易風を、タヒチへ向かう際はポート・サイド(左舷)から受けることになり、北に戻る際はスターボード(右舷)から受けることになるのです。このように航海カヌーの横から吹いてくる風は「兵士のそよ風」と呼ばれています(経験の浅い船乗りでも船を操れるような風という意味です)。こうした状態での帆走は「リーチング」と呼ばれ、最も速度が出る、そして最も操船が簡単なものなのです。

ミクロネシアはハワイから見て西の方にあるので、この航海において航海カヌーは東風を後方もしくは真後ろから受けて帆走することになります。このような場合、クルーがステアリング・スウィープで舵を取ってやらないと、航海カヌーの針路が右や左に逸れて船足が落ちたり、真横を向いて止まってしまったりということさえあります。ジャイブの危険すらあるのです(帆の反対側に風が当たって推進力が失われたり、いきなり帆の位置が変化したりすること。後者の場合、ロープ類に必要以上の強い力が掛かりますし、デッキの上をロープが跳ね回って危険な状態にすらなります)。貿易風によるうねりも航海カヌーの後方からやって来ますが、うねりの来る方向と風向きはしばしば一致しません。こうなると舵取りは一層難しいものとなります。

最高速度で帆走する航海カヌーの針路を一定に保つ為には、熟練したチームが(ワッチ当たり3人[訳注2])常に風向きとうねりの方向を見て船の状態を調整し続ける必要があるのです。

ホクレアが舵取りに用いているのは、以下のような装備です。まず、デッキの後部に装着されたステアリング・スウィープ、あるいはパドル(ホエ・ウリと呼びます)。そして左右の船体の内部に一つずつ装着されたブレード(左側の船体に装着されているものをホエ・アマ、右側の船体に装着されているものをホエ・アケアと呼びます)です。チームはステアリング・スウィープで舵を取りながら、同時に左右のブレードを必要に応じて上げ下げし、ホクレアの針路を一定に保ちます。左舷のブレードを降ろせばホクレアは右に旋回し、右舷のブレードを降ろせばホクレアは左に旋回します。荷物を満載すると13.5トンにもなるホクレアのような大型の双胴カヌーの舵を操作するには、筋力、技術、知識、努力、集中力、そして優雅さまでもが、高いレベルで必要となります。

一方、マイスが用いるのは1本のステアリング・スウィープだけで、ブレードは装備していません。またマイスはホクレアより幾分軽い船でもあります。とはいえ、風下に向かう帆走において求められるものとそのレベルは、ホクレアと全く同じです。

ホクレアの図解については、以下のリンクを参照して下さい。

http://pvs.kcc.hawaii.edu/rapanui/newsails.gif

http://pvs.kcc.hawaii.edu/Hokuleaparts.html

http://pvs.kcc.hawaii.edu/Hokulea.gif

訳注1:オハナohanaとはハワイ語で「家族」という意味。ハワイでは、ハワイ人に限らず航海カヌーに関わる人々全てを一つの家族と考え、この家族のことを「ヴォヤージング・オハナ」と呼ぶ。

訳注2:ワッチwatchとは「航海直」「航海当直」とも呼ばれるもので、船内の業務を輪番で担当する制度のこと。今回の航海でホクレアは3人のワッチ・キャプテンと6人のクルーを3組に分け、4時間ごとにワッチを交替するシステムを採用している(ただし天候が悪化した場合には2組、6時間交替のワッチに移行することになっている)。

1月21日<船団はステアリング・スウィープの補修の為、ケアラケクア湾に投錨しました

船団はステアリング・スウィープの補修の為、ケアラケクア湾に投錨しました

アロハ、皆さん。

2艘のカヌーはケアラケクア湾に投錨しました。ケアラケクア湾に浮かぶ2艘は殊の外美しく見えます。(ケアラケクア湾はハワイ島のコナ地区、カワイハエから南に40マイル[およそ64キロメートル]のところにあります)

ステアリング・スウィープの補修作業は既に始まっており、今夜あるいは明日には完了するはずです。現在、ショーティー、チャド・パイション、ブルース、ナイノアがミーティングを行っていますが、このミーティングでは今後の航海プランについても話し合われています。新しい情報が入り次第、皆さんにお伝えします。繰り返しますが、クルー全員に何ら問題は無く、彼らは出航に備えて待機している状態です。
(亀裂が入ったのはステアリング・スウィープの柄の部分です。ステアリング・スウィープとは航海カヌーの舵を取る為の木製の大きなパドルです)

どちらのカヌーのステアリング・スウィープに問題が発生したかについてですが、リーダーたちはこれを公表しないことに決めました。彼らは次のように話しています。「我々は2艘のカヌーで航海をしていますが、これは全体で一つの航海なのです。私たちは一つのチームとして全力を挙げて航海に取り組んでいます。ですから、私たちはどちらのカヌーに問題があったという言い方をしたく無いのです。何故ならば、それは私たち自身にとって意味の無い視点だからです。それが私たちのやり方なのです。」

皆さんのご理解と変わりないご支援に感謝致します。

アロハ
キャシーより

1月20日<船団はステアリング・スウィープに発生した亀裂を補修する為、コナに帰還

アロハ!
20日午後、ホクレア号、アリンガノ・マイス号、伴走船のカマ・ヘレ号はハワイ島サウス・ポイント近くのマヌカ沖を航行中、ステアリング・スウィープの柄に亀裂が入っているのを発見しました。

船団のリーダーたち、そしてポリネシアン・ボエージング・ソサエティの代表のナイノア・トンプソンは「ステアリング・スウィープの柄を補修しない限り、航海を続けていくのは不可能である。よってコナへの寄港を決定した。乗組員にはケガはなく、航行の安全は現在も保たれている。ただ航海を続ける為にはステアリング・スウィープ※の補修が必要だ」と述べています。

私たちの航海においては安全の確保が最優先課題となります。幸いにも船団がまだハワイ島の沖合を航行中だったことから、コナへの寄港が決定しました。修理は2~3日で完了する予定。

現在、私自身が船団に同行していませんので、最新情報の更新も即座にできない場合もありますが、ご理解をいただけますようお願いいたします。皆さまのご支援とご協力に感謝いたします。

アロハ
キャシー記

※訳注:航海カヌーの後部に装着されている巨大なパドルのこと。ポリネシアの航海カヌーは船体に固定された舵の代わりにこうしたパドルを使って方向転換、方向維持を行う。柄の部分には強い力が加わる為、まれに破損することがある。

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